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2015年 11月13日 雨

 

数年前のことです。

知人であるディケアー施設長から

「看護師さんが休みなので手伝ってほしい」

と連絡をいただきました。

当時、関わらせていただいたご高齢の方A さん

の流した静かな涙を思い出しました。

 

Aさんの年齢は80代、脳梗塞後に全身麻痺

となり全面介助の必要な女性でした。

Aさんに初めてお会いした時は、

ただベッドに横たわり時間が来れば、必要な

援助のみを、お受けになられているご様子。

ただ1点だけを見つめられて、

表情も全くありませんでした。

 

介護士の方からは

「この方は全面介助が必要で意思の疎通も

できません。言葉を発することもできません。

聴こえているとは思うのですが・・」

と申し送りを受けました。

意志の疎通ができない状態でしたし、

ベッド上ですべて介助を必要としていました。

スタッフの方はAさんには特に何も話しかけ

ず淡々と一日の介護項目を行っている様子

でした。

 

私は、Aさんに足浴を提案させていただき

ました。

車椅子に座っていただき温かいお湯の中に

両足を入れていただく事にしました。

その時の様子をお伝えしたいと思います。

 

A さんに

「今日は足浴をしましょうか」

とお顔を覗き込みお伝えしました。

 

【私】

「今日は足浴をさせていただきますね。

よろしいでしょうか。」と

優しく笑顔でお顔を覗き込みます。

 

【A さん】

顔はこわばり無言状態です。

 

【私】

「まず右足からお湯に入れますね。」

 

【A さん】

顔はこわばり無言状態です。

 

【私】

足をマッサージしながら、

「温かくて気持ちがいいと思います。どう

でしょうか?」と

優しく話しかけお顔を覗き込みます

 

【A さん】

顔はこわばり無言状態です。

 

【私】

その言葉を何度か繰り返します。

 

【A さん】

顔はこわばり無言状態で表情は

全く変わりません。

 

【私】

両足は気持ちが良いことに間違いは

ありません。

しかし、私の声が聴こえていても、

身体で 反応をする事、

返事をする事ができない事は、

どんなにお辛いだろうと感じました。

ですので、A さんに「お辛いですね~」と

優しく耳元で小さな声でお伝えしました。

 

【A さん】

無言状態が続く・・

 

【私】

私も辛い気持ちになり、もう一度、

「お辛いですね~」と小さな声で優しく

耳元でお伝えしAさんの手を握りました。

 

【A さん】

すると、左目から涙が・・・・

 

【私】

もう一度、「お辛いですね」と優しく

耳元で小さな声でお伝えし、

Aさんの手を握りました。

 

【A さん】

一点を見つめたまま涙が流れていました。

小さな小さな涙でした。

 

【私】

とても心が痛くなりました。

しかしAさんの流してくださった涙が凄く

意味のあるものに感じました。

「お気持ちを伝えてくださって

ありがとうございます」

とお伝えしました.。

 

高齢化社会になっている現代では、

このような介護の必要なご高齢の方が

沢山いらっしやいます。

勿論、介護する側にとっても、

精神的にも肉体的にも大変なことだ

と感じています。勤務時間内に笑顔を

絶やさず全力で介護業務をこなされて

いる介護士さんの姿も沢山見てきました。

とても素晴らしいことだと感じています。

Aさんと一日関わらせていただいたのですが、

Aさんの流してくださった涙がとても意味

のあるものに感じました。

私はAさんの手を優しく握り、

「お気持ちを伝えてくださって

ありがとうございます」

と何度もお伝えしました。

みなさんは、Aさんの流された静かな涙の

意味をどのようにお考えでしょうか。

是非、お考えを聴かせてくださいね。

 

福岡県北九州市門司区

カウンセリングオフィス「ひと息倶楽部」

代表 守口君子     http://hitoiki.ec-net.jp/

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